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歌い続けているといろんなことがある。

それでも歌うのは自分の歌。
誰がどう思おうが自分の歌。
それだけは死ぬまで変えない。
それだけは変えたら意味がない。

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いつものストーミーマンデー。
この夜は寺田町との独り弾き語り対決。
馴染みな客に見知らぬ客。
カウンターで独りで飲んでいる客がいた。
うつむき加減でボサボサの長い髪で顔が隠れている女。

あれ？　マリさん？

金子マリさんだった。

オレのことを憶えていてくれた。

マリさんは可愛い。

いつだったか。「Ａ」のCD発売記念ライブに
ゲスト出演することになっていたマリさんとオレは
高円寺の居酒屋で二人きりで飲む状況になった。
お酒の勢いもあったと思うし、
しかも高田渡さんの追悼集会で歌ってきた後
だったこともあったと思うが、
マリさんはオレに彼女自身のいろんなことを話してくれた。
包み隠すことなどまるでしなかった。
マリさんは話している時も歌っている時も変わらない。
これは習うことでも覚えることでもない。
あんなことやこんなことを、
やってきたかやってきてないかである。
全身がBLUES。音楽。
そんなマリさんはすごく可愛かった。
そんなことをあらためて感じた時間だった。

マリさんはストーミーにはたまに目当てなくふらりと来るらしい。


それでも歌うのは自分の歌。
誰がどう思おうが自分の歌。
それだけは死ぬまで変えない。
それだけは変えたら意味がない。



ストーミーのカズキママが後で教えてくれたんだが、
マリさんはオレの歌をじっくり聴いてくれていて
一言一言の歌の言葉に対して
「そんなバカなことないよー。」
とか、
「アタシはぜ〜ったいないね。」
とか、
いちいち反応して目をつぶってグラス片手にブツブツ言っていたそうだ。
当たり前のことだけど、反応の言葉の内容がどーのこーのじゃない。

オレはそのことを知ってものすごく嬉しかった。


ステージも後半になって、
初対面だったという寺田町がマリさんをステージに呼ぶ。
寺田町はBLUESなギターを刻みシワガレ声で唸る、
オレはギターを叩いてリズムを刻みながら
マリさんの即興の言葉に相づちを入れるように叫んだ。
マリさんが真横であの声で激しく優しくBLUESしていた。

「ス〜マ〜！あんたがドラムをやめたワケがよ〜くわかった気がしたよ〜」

「で〜もさ〜チュ〜ニングは〜しっかりしなよ〜〜」

お客もウケながらものすごく盛り上がる。
どんな言葉もオレには暖かく響いた。
感じるんだよ。マリさんの声は。


２曲程マリさんは即興でBLUESしてから
そのまま大きな拍手に見送られながら帰っていった。
その帰り際にマリさんはオレに一言、こう言ってくれたんだ。

「アンタは素晴らしいっ。詩もイイっ。」

「でもチューニングはしっかりしなさいよ〜！過言ではない！」

たとえマリさんが忘れても、
オレは忘れられない言葉になった。



歌い続けているといろんなことがある。

それでも歌うのは自分の歌。
誰がどう思おうが自分の歌。
それだけは死ぬまで変えない。
それだけは変えたら意味がない。




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＊寺さんのことあまり書かなかったなあ。ゴメン。笑
　でもまた一緒にやりましょ。お互い歌い続けていきましょ。
＊もう一枚はストーミーの後でボーマスと行った少しお高いBAR。
常駐？のプロフェッショナルなキーボードの方や
お店の方々に勧められて歌ったのが
「The End Of The World」
「Stand By Me」
「You Gonna Quite Me Baby Blues」
「トラモナ」
プロフェッショナルでもBLUESの進行は苦手だったようで
オレについて来れなかったのが面白かった。
でも音はすごくお店にピッタリなゴージャスサウンド。
録音しとけばよかった。笑

こんなこともあるか。

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