前へ | 次へ

立ち飲み屋で飲んでいてよいところは…

（まあ嫌な思いも含めてそれもよいところ）
見ず知らずの隣の人と話す機会が多いことである。
自分が望まなくても、その機会は突然訪れる。




そしてこの夜も。
隣の日焼け顔に眼鏡をかけた
おじさんが話しかけてきた。


「エコー（煙草）吸ってるんだ。懐かしいねえ。」

ここから話はポンポンと弾む。
エコーもたまには役に立つもんだ。

ここにはよく来る少し年輩のカップル。
男性は寄席好きな物書きだそうで、
連れの大人しめな女性はなんと今日が誕生日。
お固いレストランでお祝いなんて嫌で
この日も結局ここに来たのだそうだ。

「今日はね。第一次世界大戦の終戦日なのよ。」

「だから毎年ね。私の誕生日は世界平和の日なの。」

（　なるほど。それはいい日だ。）

「それはめでたい！　おめでとう！（乾杯）」

「実はね。今から近くのお店で歌うんですよ。」

「ホントに？！　行きます行きます！」
「そうだね。行こう行こう！」

たまにはこんなトントン拍子な夜もある。
それは立ち飲み屋に限ったことではない。
日常にもそんなことはたまにはあるし、
あっていいんだと思う。

そのまま一緒に歌うお店へと向かったのである。



お祝いにはもちろんあの歌を。
先日、結婚パーティーでその歌を唄い
喜んでくれた新婚さんたちも
初めて聴きに来てくれて、
もちろん楽しい夜になったのである。



あぁ。立ち飲み屋での正しい飲み方。

なのかね。






（写真）
新宿マローネのマスターがライブ後に出してくれた
煮込みに煮込んだ煮込みうどん。
ゆずも入っててね。絶品でした。ご馳走さま。
３０年以上も続いている小さなお店マローネ。
オレはこんな雰囲気のお店で歌うのが似合ってる気がする。
また来年ここでやらせてもらいます。

---