スーマーさんは熱唱しない。サラリと歌う。
無理がなくてすごく自然だ。それが気持ちいい。
耳にスーっと入ってきて、ちょっと「ま」が
あってトンと心に届く。
擬音にすると、「スー・まー」な感じだ。
「ボクの詩に曲をつけてくれませんか」
ライブのあと、スーマーさんに頼むと、
「いいですよ」
と、あのいい声で答えてくれた。
 早速、原稿用紙に清書して送った。詩は「人
生行きあたりばったり」。ボクが漫画家にな
る前、CMを作ってる頃書いた詩だ。
 ヒッピーのような中年男が、ハワイの
ワイキキビーチの横を歩きながらギターを
弾いて歌ってる。

 行きあたりばったり
 行きあたりばったりよ〜

 最後に、「いえいえ、ご利用は計画的に」
と、ナレーションとテロップが入る。ある消
費者金融のCMだ。
 この企画はボツになったが、「行きあたり
ばったり」のフレーズが気に入って、七番ま
で詩を書いた。
 次のライブで予告通り歌ってくれた。
 すごく自然で、でもどーってことない曲だ
った。それがその後何度かライブで聴くうち
に、同じ曲なのにだんだん良くなっていった。
 スーマーさん曰く「歌がおなかに入ってき
た」んだそうだ。

 行きあたりばったり
 行きあたりばったり
 死ぬまでそうだろな

いいぞ、いいぞ。歌と心がピッタリだ。
この感じ、ああそう、「スー・まー」な感じだ!
 やっぱ、スーマーさんにお願いしてよかったなぁ・・・・


______________________________安倍夜郎