〈泥水は揺れるに寄せて〉

人はただ歌い歩けば吟遊詩人と呼ばれるようになる訳ではなく。
旅の風に揺さぶられ擦り切れながら、彼の歌はいつも深く落ち着いた息
をしている。
世の寂しさや憂いの隣に腰掛け、そこに付着した汚れをそっと雪(そそ)
いでくれる。
ある夜彼は泥水さえも醸造し、そんな歌のひとつに変えてしまった。
旅から旅へ、今日はどこの空の下。
スーマーさんがまた愛される作品を世間にコトリと置いて行かれました。



________________________________長野友美(シンガーソングライター)