語弊があるかもしれないが、ソングライターやシンガーは
ある意味ペテン師である。というようなことを昨夜、とある
音楽バーで話した。人の心にするり忍び込み、歌世界に引き
ずり込んでいく。そうならないものには無論あまり魅力を感
じない。第一級のペテン師にならんければあかんのだ。

 本アルバムを一聴して最初の数小節くらいでもう、なにか
勝手に私には心象が浮かんできた。なかなかにないことであ
る。気持ちがいいというまたその上をいく、心の旅に出てい
るような気持だ。聞いた人それぞれがそれぞれの心象を立ち
上らせることができる音を出すことこそ、彼がやりたい事な
のではないだろうか。それを十分成功させた実に質の高いア
ルバムだろう。

 また二枚目のスタジオアルバムであるが、完全にスーマー
の音盤世界を確立したな、と私は思った。

 もう一つだけ書かせてもらえば、音が実に良い。録音スタ
ジオの一部とマスタリングは、私の此度出る新譜と同様ガン
ボ・スタジオである。つまり私のアルバムも頗る音が良い。


______________________________W.C.カラス(ブルース歌手)